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梅江製材所通信

木材の乾燥「天然乾燥」と「人工乾燥」の違いやメリット

原木から製材した木材は、水分をたくさん含んでいます。木を羽目板や木材として使用するには、乾燥させ水分を除く必要があります。

 

木を乾燥させずに、水分が多く含まれた状態のままだとソリや割れが生じてしまい、家の柱や土台が狂ってしまいます。

 

木材を乾燥させる方法は、「天然乾燥」と「人工乾燥」があります。あまり馴染みのない言葉ですが、木材の品質を高める大切な工程です。

 

天然乾燥とは?

天然乾燥とは、太陽や風といった自然の力を使って乾燥させる方法のことです。

 

「梅江製材所」では、山で伐採された木を車で運び出して製材所で製材し、さん木を使って板を積み上げます。板を太陽光や風にあて乾燥させて、床材では40日から2ヶ月ほどで完成します。 

天然乾燥の工程

車がない時代は、伐採後の水分を多く含んだ重たい木をそのまま山から下ろせないので、山で乾燥させていました。この昔の乾燥方法を「葉枯らし乾燥」と言い、この天然乾燥ではなんと乾燥に1年間かかっていました。

 

木を伐採後、上の方の葉っぱ部分を残し、あとの葉や枝部分は全て伐採していきます。

次に木の幹に残った水分は、残した葉に光合成を行わせ蒸散させます。

 

水分が無くなった頃に、葉が枯れて乾燥するので、玉切り(またぎり)で、4m~1m感覚で木を切ります。ここまで6ヶ月かかります。

 

次に馬を使って山から下ろします。そこから板を製材し、更に乾かすため、木を伐採してから1年かかって、はじめて建築資材として使えるようになります。

天然乾燥の工程

天然乾燥のメリット

昔ほどではありませんが、現在でも天然乾燥は時間と手間(床材なら40日~ほぼ2ヶ月)がかかります。

 

しかし、建築材料(羽目板等)にした時に、

 

①狂いが少ない

②強度が増す

③クセが抜けて品質が安定する

④木が本来持つ脂分が残るため木材本来の独特の色艶が出てくる

⑤木の自然な香りを持つ

 

といった利点があります。

 

また自然と木の力で乾燥するため、環境負荷はかからず、地球にやさしいといった特長もあります。

 

人工乾燥とは?

木材を建築材として使う時には、伐採後に製材し乾燥させる必要があります。伐採した後も木には大量の水分が残ります。そのまま使用するとソリや割れをおこすので乾燥させます。

「人工乾燥」は人工的に木材に熱を送りこむことで乾燥させる手法です。

 

昔の住宅は、周りが田んぼや自然の中だったり、土の上に建てられていたので、風の通りも良かったのですが、現在の住宅周辺はアスファルトの道路やコンクリートの建物に囲まれているため、機密性を高くする必要があります。

 

室内が暑かったり寒かったりする時は、窓や戸を開けて調整するのではなく、エアコンを使って室温を調整します。すると、人工的に作られた温度調整により木材に負荷がかかり、割れやソリを起こしやすくなります。

 

梅江製材所では天然乾燥の後、仕上げに人工乾燥を行うことで、機密性が高くエアコンで室温を調整する現在の住環境に適した木材を作っています

 

人工乾燥機について

人工乾燥機では、球(空気温度)、湿球(湿度=蒸気の温度)を調整して羽目板の含水率を下げていきます。

 

木の含水率を15%ほど下げておけば、木はその環境にもなじんでくれます。木は一旦乾燥すると、含水率が上下2%程しか戻らないと言う性質があり、現代の住まいに対応した品質の良い木材(主にフローリング)を供給できます。

 

人工乾燥の工程について

 

(1)目標の含水率を決める

まずは木材の種類や使用する用途によって、含水率を決めます。

 

木材の含水率は、天然乾燥では18%前後まで下げる事が出来ますが、現在の高断熱、高気密住宅のエアコン主体の住環境に耐えうるには、人工乾燥により含水率を15%近くまで下げる必要があります。

 

木は一旦乾燥すると、含水率が上下2%程しか戻らないと言う性質があります。

(2)スケジュールを組みボイラーの燃焼を元に乾燥させる

 

木材の人口乾燥は、厚みと幅、長さ等のサイズ別にスケジュールを組んで乾燥させます。コンピューター制御で、乾燥機、炉内の温湿度、温水の温度、乾球温度等の数値を設定いたします。乾燥させるエネルギーの元はボイラーによる燃焼です。温度と湿度の具合をセットし、エコを考えて木屑をボイラーで燃焼させ、乾燥を開始いたします。温度を上げ、同時に木材本来の湿度も上げます。ファンで温風を循環させて、まんべんなく乾燥させます。人工乾燥には、高温乾燥などもありますが、杉本来の色艶や香りを保つために梅江製材所では、中温・低音乾燥を行っています。

 

(3)5日間乾燥させる

 

十数種類のステップで5日間、内部温度と湿度と空気の別々の温度、温水の温度などを数時間おきに変えながら乾燥して行きます。

 5日目には、色艶や香りも天然乾燥とほぼ変わらない、いや、むしろ天然乾燥よりも良い上質の木材が出来あがります。現代の高断熱・高気密の住宅でも、そりや割れが起きにくい人工乾燥の木材をぜひ一度お試し下さい。

 

人工乾燥機の詳細動画

 

梅江製材所でも導入した、東北通商株式会社の人工乾燥機の詳細説明動画になります。

https://www.facebook.com/tohoksdm/videos/308839245884222/

監修者紹介

九州 大分県日田市にある梅江製材所の代表、梅江康弘です。
創業50年、木の魅力を探求し続けてまいりました。
厳選した木材のみを製材し、良質で綺麗な羽目板をお客様に自信を持ってお届けしています。

監修者:梅江康弘

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