「超仕上げ加工」についてお伝えしたいと思います。
目次
(1)木から板へ、板から内装材の工程へ
前回の特集では木(原木)から板に変化していく過程をご紹介しましたが、
今回は板を仕上げる工程へと話を進めていきたいと思います。
羽目板は製造されたばかりの板を「モルダー」という機械を通してつくられていきます。
(記事参照:「みぞづくりの加工には欠かせないモルダー機器について」)
モルダーを通る際に、板の表面部分もプレーナー(カンナ)仕上げが同時にされるのですが、
モルダー機械の刃は高速で回転しているため、どうしても刃物の後(ナイフマーク)が残ってしまいます。
家の下地材や隠れてしまう部位に使用する場合は、このモルダー仕上げのみでも全く問題は
ないのですが、床や壁板(内装材)として使用する場合は、表面を綺麗にする、
「仕上げ加工」の一手間が必要となります。
仕上げ加工には、サンドペーパーで研磨する「サンダー仕上げ」と、
今回ご紹介する「超仕上げ」と呼ばれるものがあります。
機械が発達する前は大工さんが現場でカンナを使い、超仕上げを行っていましたが、
現在は加工機械を使って行っています。
(2)超仕上げにこだわり続けてきた理由
表面の輝き、光沢感がまったく違います。
サンダー仕上げとの大きな違いは、表面をよく切れる刃物でスパッと切っているため、
表面の手触りはツルツルしており、まるで塗装したかのようなツヤ(光沢感)を
長期間保持することができます。
一般的な仕上げ方法は表面をペーパーで研磨する方法ですが
弊社ではペーパー仕上げを行っていません。
杉には、空気中の水分を吸収・放出し、室内の空気を浄化してくれる働きがあるのですが
ペーパーで研磨したり、ウレタン塗装などを施すと、水の通り道である木の大切な導管がつぶれて呼吸もできなくなり、せっかくの杉の調湿効果を発揮できなくなるのです。
超仕上げは木の表面をカンナで薄~く削るので、大切な導管も塞がらず、本来、
木の持つ呼吸機能、調湿機能を生かしたまま美しい光沢となめらかな手触りの表面に仕上げることができるのです。表面は光り輝くため塗装もいらず、そのまま利用していただけます。
ちなみに、こちらが機械で超仕上げをおこなっている様子です。
一本一本丁寧に仕上げていきます。
(3)刃の調整に職人の技術が光ります!
昔は大工さんがカンナで仕上げていた方法ですが、
熟練の大工さんでも均一の品質で超仕上げを行うのは難しかったと言われています。
機械で削るといっても刃の調整は職人自らおこなっています。
研いだ刃を自分の指の感覚を頼りに高さを調整していきます。
高さがありすぎても超仕上げにはなりません。
わずかな高さを調整するのは職人技だからできる仕事なのです。
当社の商品では、節ありの木材に関してはモルダー仕上げとなっていますが、
床材や、無節の木材に関しましては出荷前に超仕上げをして、お客様にお届けしています。