目次
(1)木材の乾燥方法
低〜中温乾燥は比較的低い温度で乾燥を行いますので、高温乾燥に比べると乾燥期間を長く必要とします。しかし変色や内部割れ、反り、ねじれを防ぐ事が出来、 仕上がり後の水分バランスがよいため、色つやや木の香りを維持できるのが特徴です。
一方、90℃~120℃程度の温度で行う高温乾燥は、中温乾燥に比べると乾燥期間が短くできるというメリットがあります。しかし高温で乾燥するため、表面が焼けたようになってしまい、水分や油分が飛んでしまうので出来上がりはパサッとした感じになってしまいます。木独特の香りは損なわれてしまうケースが多いようです。また条件によっては内部割れが起こってしまい、強度的に弱くなってしまうケースもあります。
乾燥方法による木材の特徴
高温乾燥が必要となった背景には、住宅への「資材供給の増加」と「木の見栄え」に対する意識の変化が影響しています。
住宅建築への木の使用量の増加
家を作るには大量の木材が必要となりますが、天然乾燥や中温乾燥は乾燥期間を長く必要とするため、過度な供給には追いつかなくなってしまいます。特に天然乾燥の場合は資材として利用できるように乾燥をするには9ヶ月程度かかってしまうため、大量に供給することは不可能です。
(2)木の見栄えに対する消費者の意識の変化
また、住宅材においては「見栄え」の問題も影響しています。木はもともと割れたりヒビが入ったりするものなのですが、住宅の柱などにヒビが入るとどうしても見栄えが気になったり、強度に問題があるのでは?という風に考えてしまいます。
高温乾燥を行うと、表面にヒビが入ることは全くないというわけではありませんが、天然乾燥や中温乾燥の場合は、自然に乾燥していく過程でどうしても表面にヒビ割れなどが入ってしまいます。
確かに見栄えという面に関しては「高温乾燥」のほうが良いような気がしますが、「耐久性」という点に関しては天然乾燥、中温乾燥に軍配があがります。
一体なぜなのでしょうか?
実は木を短期間で乾燥させる、つまり高温乾燥を行うと条件によっては「内部割れ」というものを
起こします。内部割れというのは木の中心付近で起こりますので、外側の見た目だけでは判断はできません。ただ、内部割れが起こってしまうと、木自体の耐久性は著しく低下していくため、強度の問題が発生してしまいます。
一方、天然乾燥、中温乾燥は表面のヒビ割れや、建築してから暫くの間は自然に乾燥していく過程で「ピシッ」「パシッ」と音がしたり、表面にヒビが入ったりします。
しかし、乾燥と同時に内部の強度は増していっており、長期間にわたって耐久性を保持できるのが特徴です。
現在は見栄えを気にするあまり、ヒビが入ってしまうとクレームになったり、不安になる方も多いので、メーカー各社も高温乾燥を使わざるを得ないのかもしれません。
ですが、耐久性という点に関しては「低中温乾燥」の材木の利用をおすすめしたいと思います。