みなさん、こんにちは。
梅江製材所の梅江です。
今回は、意外と知られていない木目の種類「柾目(まさめ)」と「板目(いため)」について詳しくお話させていただこうと思います。
目次
切り方で木目の模様が変わる、柾目と板目
希少性が高く、見た目がきれいな柾目
製材した板に、木目=年輪の模様が刻まれていることは、みなさんもよくご存知のことかと思います。
しかし、この模様にいくつか種類があることはあまり知られていません。
今回お話する「柾目」と「板目」とは、この木目模様の種類のこと。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについてお話したいと思います。
柾目と板目。2つ材を並べてみると、見た目の違いがよくわかります。
板目は、曲線混じりの木目模様。
打って変わって柾目には、直線に近い真っ直ぐな木目が刻まれています。なぜこれほどまでに模様に違いが出るのでしょうか?
それは、柾目と板目は木材の切り分け方が異なるためです。
また、最大丸太の直径サイズまで切り出せる板目に対し、最大サイズが半径の柾目。板目のほうが大きな木材を製材することができます。
柾目・板目のメリット
希少性が高く、見た目がきれいな柾目
柾目の魅力は、とにかくその木目の美しさにあります。
日本家屋では主に障子や建具等に使われている柾目。特に、美しい装飾を施した建具の周辺(仏壇の上下や欄間の下にある「長押」という部分等)に多く採用されています。
水平に流れていく美しい木目は、華やかな建具のデザインにも負けない素材として選ばれているのです。
ナチュラルで木のぬくもりを感じさせる板目に比べると、柾目はやや都会的で落ち着きのある雰囲気です。
モダンでスタイリッシュな印象を与える柾目は、最近ではデザイン性を重視した家具やドアに使われることも多くなりました。
美しさがメリットとされる反面、一本の丸太から切り出せる数が少ないため、板目よりどうしてもコストが高くなってしまいます。
また、年輪が縦の直線に並んでいる柾目は、板目のランダムな曲線に比べると、表面が年輪に添ってぽろりと剥がれてしまう恐れがあります。(※ただし、上下と横の力に対しては板目と変わらない強度なので、木材として何ら問題はありません)
価格が安く、自然の風合いを味わえる板目
みなさんがよく目にする木材は、曲線状の模様が入った「板目」ではないでしょうか。
端から端まできっちりと切り出せる効率的な製材方法で、価格を抑えることができる板目。コスト面では、柾目よりも板目のほうが優秀と言えます。
また、年輪の境目で表面が剥がれやすくなってしまう柾目よりも、年輪の境目がランダムで接着が安定している板目のほうが壁材や床材に向いています。そのため、梅江製材所の羽目板は、すべての商品を板目として製材しています。
柾目のメリットとして「見た目の美しさ」というお話をしましたが、見栄えの良さでは板目も負けてはいません。年輪の形が刻まれた板目は、自然素材のぬくもりをたっぷりと感じられる素材です。ランダムな模様にはひとつとして同じ形はなく、くっきりとした力強さを感じるものもあれば、やわらかな雰囲気を持つものもあります。
少し無機質な感じがする柾目に比べると、ナチュラルな風合いがたっぷり味わえるのが板目の特徴です。
自然素材のよさを楽しみたいお客様には、こちらの板目が圧倒的に人気です。
耐久性と美しさを兼ね備え
様々な空間に温もりと自然の美をもたらす
「高いもの」が「いいもの」ではない
柾目と板目、それぞれの良さがあります
今回は柾目と板目のメリット・デメリットをお話しましたが、いかがでしたか?
普段は何気なく見過ごしてしまう木目にも種類があり、それぞれ特徴があることがおわかりいただけたかと思います。
希少性と価格が高く、落ち着いた木目が特徴の柾目と、コストに優れ、ナチュラルな雰囲気が人気の板目。
値段が高い柾目が「いいもの」で、安い板目が「悪いもの」というわけでは決してありません。
例えば、スッキリしたインテリアに統一したいときは柾目を取り入れてみたり、自然素材の風合いをたっぷり味わいときは板目を使ってみたりと、材の選び方で何通りもの楽しみが生まれます。
お好みと予算に合わせて、「柾目」と「板目」を選んで楽しんでみてくださいね。