杉の羽目板の「等級」について詳しくお話させていただこうと思います。
目次
羽目板の等級について
見た目が美しい無節・上小無節・小節
等級には無節・上小無節・小節の他、特一等・一等と呼ばれるものがあります。
(以前は二等と言っていましたが、現在は二等と言う言い方をしていません。特一等と一等です。特があるか無いかで品質の違いを表します。)
JASの造作用製材品の材面の品質基準として定められているものですが、こちらの等級には強度は関係なく、あくまでも「見た目」を基準としています。
「無節」「上小無節」「小節」という文字通り、節の大きさや多さで定められた区分です。
「無節」は節がまったくない状態。「上小無節」「小節」はわずかに小さな節が見受けられるものの、見た目的に美しい状態を保っている木材です。
一般的に節のないものが見た目に美しいと評価されているため、これまでは「無節」「上小無節」「小節」のいずれかが住宅の見える部分(床や壁、柱など)に多く採用されてきました。
お客様が目にすることのある木材は、こちらの等級であることが多いでしょう。
また、これらをまとめて「役物」と呼びます。
目立つ節が多く、隠れた部分に使われることが多い特一等
では、「特一等」や「一等」はどうでしょうか。
こちらは取引で使われる言葉なので、聞いたことがあるというお客様はなかなかいらっしゃらないと思います。
前述の3つの等級に比べ、こちらは節が目立ちます。そのため、天井の裏や壁の内側など、構造体に使用されることが多い等級です。
見た目に関わる部分に使われる「役物」に対し、一般的に構造体に使用される「野物」と呼ばれることがあります。
また、丸太になると、節の数は関係なく、皮が残っているかどうか、面にまるみを帯びているかどうかで等級が分かれてくるのですが、羽目板の場合には節で区別される「特一等」までしかありません。
「純白」「総赤身」という価値観
混じりっけのない「純白」「総赤身」は価値が高い
節の多さで区別される等級に対し、羽目板にはもう一つ「白身」「赤身」という区別もあります。
赤身は、「芯材」の部分から取れる赤みを帯びた材です。
「第9回 百年持つ「杉の赤身」の魅力( >> 第9回 「杉の赤身」の魅力について )」でも触れている通り、水に強く耐久性に優れているため、水回りや脱衣所での使用をおすすめしています。
白身は、「辺材」から取れる材。「第8回 知られざる「杉の白身」の魅力( >> 第8回 「杉の白身」の魅力について )」にもあるように、辺材は木の全体の30%程度しかありません。
調湿作用に優れているため、お部屋の天井や壁に使用すると快適にお過ごしいただけます。
これらの赤身、白身の中でも、特に混じりっ気のないものを「総赤身」「純白」と呼びます。
「総赤身」「純白」は見た目が非常に美しいのですが、ほんの少しでも赤身・白身が混じると「純白」「総赤身」ではなくなってしまいます。
梅江製材所では、「純白」「総赤身」の他にも細かく分類した商品を取り扱っていますが、手間がかかるため、他社の製材所ではなかなか見かけません。
よりよい品質をお届けする梅江製材所の技術
節も「味になる」という価値観も。
「特一等」という言葉から最上ランクの印象を受けるので、少しややこしく感じますが、これは「野物の中では最上位」という意味。
節のない「無節・上小無節・小節」のほうが上位に位置づけられています。
節がある特一等に比べると、無節・上小無節・小節のほうがランクが上であり、価格も高くなっています。
とはいえ、等級が高い無節のほうが、特一等よりもよいとは一概には言えないのです。
今までは隠れた構造体に使われることが多かった特一等ですが、昨今ではこの「節」が木が持つ自然な味わいとして好まれるようになり、またコスト削減の面からも、床や壁などの見える部分として採用されることが増えてきました。
梅江製材所では、この「節」にも独自の加工技術を施した商品をお客様のもとへお届けしています。( >> 第38回 「節埋め加工」について )
梅江製材所のこだわりは、素材を選別する時点からスタートしています
羽目板の中で大事にされる等級は、「無節・上小無節・小節」と「特一等」に分けられるということがおわかりいただけたと思います。
これらの商品を、より品質をあげ、皆様に多くの木材をお届けするために、梅江製材所では丸太の状態から素材を厳しく見極めています。
この素材を厳選する目は、長い経験で培われたまさに職人技。
そして、丸太の中からきれいな部分だけを選び抜いて切り取り、品質をあげていくための独自の加工を行っています。